【米国株】事例研究(成功事例①) ロウソク足分析でマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)のトレードを振り返る

【米国株】事例研究(成功事例①) ロウソク足分析でマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)のトレードを振り返る

はじめに

3月9日、ニューヨーク市場が2000ドル超の大暴落に見舞われました。

新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により、世界経済への悪影響が甚大なものになることが強く懸念されています。

今般の株式市場は、アルゴリズム取引が原因で相場が大きく一方向に触れやすいそうですが、2000ドル超の下落はリーマンショック時を超える過去最大の下落幅。なけなしのお金を株式投資に充てる身としては精神衛生上かなり良くないものがあります。

2年程前に合計150株購入して長期投資と決めて寝かせておいたマイクロソフトですが、トレンドすら転換しかねない急落に耐えられず売却することにしました。

購入の内訳は以下の通りです。

2018年4月 買値:93.5ドル 数量:100株 適用為替レート:109.38 精算金額:1,022,703円(円ベース)

2018年11月 買値:105.5ドル 数量:50株 適用為替レート:113.71 精算金額:599,820円(円ベース)

TradingView提供のチャート

売却の内訳は以下の通りです。

2020年3月 売値:158.13ドル 数量:150株 適用為替レート:104.39 精算金額:2,444,284円(円ベース)

譲渡益額:821,761円 投資収益率:+50.6%

TradingView提供のチャート

ちなみに週足チャートで売買を俯瞰すると以下のようになりました。

TradingView提供のチャート

結果的には成功と言えるトレードでしたが、今後の再現性を高めるため、売買のタイミングについて適切であったのかを今回は日本が誇るテクニカル分析手法である「ロウソク足」を用いて検証してみることにします。

ロウソク足

過去のパターンを分析することで将来を読もうとする手法の1つです。

「歴史は繰り返される」ことを相場にも見出そうとする手法で、極めてシンプルながら有効性は高いと考えている投資家の方は多いのではないでしょうか。

以下、「テクニカル分析入門」(田中勝博 著/日経文庫/2005年)からの引用です。

・・・ロウソク足の勉強は、様々なパターンを覚え、これを実際の市場で見つけることから始まります。

「ロウソク足」は相場の動きを示す分析法として知られています。

200年以上も前の米相場の時代に開発された日本古来の手法です。世界からもこの手法は注目されており、海外では「キャンドルチャート」として知られています。

ロウソク足には、株価の勢いや市場参加者の思惑を映し出すという大きな特徴があります。1本のロウソク足がどのように形成されたかを知れば、将来の株価の動きをある程度予測することができるというわけです。・・・(引用ここまで)

「酒田五法」

ロウソク足分析の基本は「酒田五法」にあります。山形県庄内酒田に伝わる相場の達人、本田宗久が編み出したロウソク足分析です。

酒田は本田宗久の出身地で、江戸時代に庄内米の積出港として知られていました。

本田宗久は酒田五法により江戸時代の米相場において巨財を成したと言われています。

酒田五法の概要について、以下、wikipediaからの引用です。

①三山(さんざん)

値動きが上昇→下落のパターンが3度続き、一般に天井形成のパターンとしてみなされ、以降は下落とみる。

②三川(さんせん)

逆三山ともいう。こちらは値動きが下落→上昇のパターンが3度続き、一般に大底形成のパターンとみなされ、以降は上昇とみる。

ちなみに三山・三川にはいくつかのパターンがあり、急上昇した次の日に上昇が鈍化→大きく下落すれば三川宵の明星、大暴落した次の日に少し値を戻しさらに、急反発すれば三川明けの明星となる。

③三空(さんくう)

何度か上昇・下落を繰り返した後に値動きが上昇傾向(あるいは下落傾向)となり、やがて値動きが落ち着いて上昇・下落が交錯すると三空となる。こうなると相場の傾向が急変する可能性が高く、上昇局面なら売り、下落局面なら買いと反対売買の機会とみる。

ちなみに上昇時の三空は三空踏み上げ、下落時の三空は三空叩き込みと呼ぶ。

④三兵(さんぺい)

3日連続で上昇・下落が続くことを指し、上昇が連続すれば赤三兵、下落が連続すれば、黒三兵と呼ぶ。

重要なのはその連続の傾向より値動きの幅や前日終値との比較であり、たとえば前日の終値よりも高い始値で赤三兵が出れば、極めて強い上昇傾向とみることができる。

またまた値動きの幅が狭まってくると先詰まりとなり、収束の前兆とみる。

⑤三法(さんぽう)

短い期間に上昇と下落が連続して起こる場合は、売り買いが交錯して方向性が定まらない状態であり、これを三法と呼ぶ。

(引用ここまで)

ロウソク足基本タイプ

ロウソク足応用パターン

陰陽2本の組み合わせパターン

①被せ線(前日のレンジに被さる)

②出合い線

③あて首線 ④入り首線 ⑤差し込み線

⑥切り込み線

⑦たすき線

⑧包み線(抱き線)

⑨はらみ線

⑩星

⑪行き違い線(振り分け線)

⑫並び赤 ⑬並び黒

⑭たくり線

⑮首吊り線 ⑯トウバ(塔婆)

⑰毛抜き天井 ⑱毛抜き底

⑲窓

分析結果

主観的には、ロウソク足分析は売り場探しに有用だと思います。

改めて売却時の日足チャートを眺めると、実際の売却タイミングより早く、3回売りシグナルが出ていたことに気が付きました。

上図の①で、「陰の丸坊主」に限りなく近い大陰線が示現しています。これは天井圏での方向転換を暗示しています。

ここで売りを決断するのがベストでしたが、上昇トレンドは継続しているため、私を含む大多数の投資家にとってここで売りを決断することは難しいのではないかと思いました。

次に、②で3本の陰線が示現しました。酒田五法でいうところの「黒三兵」で、現代においては天井圏に出現する3本の陰線を「三羽烏」と呼んでいます。3週連続(週足)または3日連続(日足)で陰線を確認すると、「下落トレンド」の始まりと解釈されています。

これはかなりわかりやすいシグナルなので、知っていればここで売りを実行できたかなという気がします。

さらに、③において「包み線(抱き線)」が示現しています。前日のレンジを完全に包んでおり、天井を示唆しています。

これもわかりやすいシグナルです。

私は3/9のニューヨークダウの2013ドル安に驚いて、翌日の反発局面で一旦撤退を決めました。

その後の米国市場はニューヨークダウが3月12日に2352ドル安、16日には2997ドル安を記録、また1000ドル超のリバウンドも複数回記録するなど非常に不安定な動きとなっており、やや遅かったとはいえ、売ったこと自体は正しい行動だったと思っています。

今後、自分としてはロウソク足分析も活用し、より精度の高い投資行動が出来るようにトレーニングしたいと考えています。

個人がアルゴリズム取引を活用する時代に古典的手法を用いるのは時代遅れなのかもしれませんが、自分に出来ることを磨いていくしかありません。

(おわり)

参考文献

「テクニカル分析入門」(田中勝博 著/日経文庫/2005年)